不動産の減価償却とは年月を重ねると建物が劣化や損耗していくため、年々資産価値が減少していくという考え方です。
建物は使用すると使用感や自然損耗、経年劣化などにより、新築時に比べて徐々に使い勝手が悪くなったり、便利な機能のついた新しい設備が開発され、設備が古くなり不便になることもあります。
これを新築当時のままの価格で売却することは不可能ですよね。
現金のように目に見えて目減りするわけではありませんが、価値としては年々減少しているというのが「減価償却」の仕組みです。
『建物と土地に分けて考える』
不動産は必ず土地の上に建物が建っていますが、土地は減価償却しないと考えます。
理由としては建物と違って使用したからといって、劣化や損耗することはありませんので、資産価値は減少しないと考えるからです。
逆に建物は年月が経つにつれて壊れたり、劣化がおきますので資産価値が下がっていkいます。
売買契約書に土地と建物の金額がそれぞれ記載がある場合、その金額で計算されます。
もし契約書を確認しても金額がわからない場合は、固定資産税評価額をもとに金額を算出することができます。
具体的な計算方法は
[購入価格×(建物の固定資産税評価額÷不動産全体の固定資産税評価額)=建物の金額]
『減価償却の法定耐用年数』
耐用年数は建物の構造や用途によって異なってきますが、減価償却を行う上ではこの耐用年数を考慮しなければなりません。
木造・合成樹脂造の店舗や住宅 | コンクリート・鉄筋コンクリート造 店舗 | コンクリート・鉄筋コンクリート造 住宅 |
22年 | 39年 | 47年 |
構造と用途によってはさらに細かく分類されています。
また、常に湿気にさらされている場合や、人の出入りの激しい建物だった場合は、劣化しやすい建物として耐用年数が短くなる場合があります。
『耐用年数の償却率を確認』
償却率とは不動産の耐用年数に応じた率が設定されており、減価償却を計算するうえではしっかりと確認をしておかなければなりません。
国税庁のホームページで[減価償却の償却率表]を参考にしてください。
【不動産購入・減価償却の計算方法】
不動産の購入価格から控除する減価償却費の計算方法は以下のとおりです。
[減価償却費=建物購入代金×0.9×償却率×経過年数]
不動産の購入総額ではなくあくまでも[建物購入代金]のみに0.9を乗じます。
また、マンションの場合、マンションの建物の躯体は通常鉄筋コンクリート造で作られているため、耐用年数と償却率は以下のとおりです。
用途 | 耐用年数 | 償却率 |
非事業用(マイホーム、セカンドハウス) | 70年 | 0.015 |
事業用(賃貸マンション) | 47年 | 0.22 |
『具体例』
減価償却の具体的な計算方法は以下のようになります。
例えば築10年のマイホームの場合で、購入時の建物の価格が2000万円だった場合
[減価償却費=2000万円×0.9×0.015×10年=270万円]
[減価償却後の建物の価格=2000万円-270万円=1730万円]
『建物の購入代金がわからない場合の計算方法』
建物の購入代金がわからない場合は消費税から逆算することで、購入代金を知ることができます。
土地には消費税がかからないため、消費税を購入当時の税率で割り戻したものが建物価格になります。
消費税は以下のとおりです。
購入年月 | 消費税率 |
平成元年 4月1日~平成9年3月31日まで | 3% |
平成9年 4月1日~平成26年3月31日まで | 5% |
平成26年 4月1日~ | 8% |
例えば平成10年に購入した不動産で「建物の購入代金の4000万円のうち消費税100万円」と記載があった場合、建物と土地の購入代金は以下のとおりです。
[建物購入代金=100万円÷0.05=2000万円
土地購入代金=4000万円-(2000万円+100万円)=1900万円]
内税になるため、建物価格と消費税を除いた額が土地の購入代金になります。
『減価償却のポイント』
減価償却は建物にしかできませんでしたが、これには付属設備も含まれる為、例えばエレベーターや、給排水設備なども減価償却することが可能です。
これら設備を建物と分けて考えることによって、より多くの減価償却をすることが可能なので、売却を検討している人は、覚えておくことをお勧めします。
【不動産の売却時における減価償却とは?~まとめ~】
居住用の不動産を購入する場合もそうですが、特に投資目的での購入の時に気をつけたいのが減価償却費の計算の仕組みです。
これを理解していると、売却時の損失額が飛び抜けて大きくなってしまうというようなことにはなりません。
このように減価償却の仕組みを知っておけば、ある程度自分で減価償却の金額をコントロールすることができ、大きな節税効果につながります。
これを読んで少しでも不動産売却の際に、お役に立てられれば幸いです。
不動産の売却について、先ずは査定依頼を実施してみましょう。